師の最終講義
- naganolabtcue
- 2023年3月22日
- 読了時間: 4分
3月末となり、春が訪れましたね。
今週末は、本学の学位記伝達式(卒業式)が群馬音楽センターで行われます。
4年生諸君、卒業おめでとうございます。
桜がこれから見ごろになる季節となりましたが、なんとか天気がもってくれれば、、
桜が咲く良き日に、卒業生たちを送り出したいものです。
さて、卒業ということですが、私の指導教授・藤井先生も、定年退職を迎えることになりまして、先日、師の最終講義がありました。
私は残念ながら外部の仕事のスケジューリングにより、どうしても現地参加がかなわず、オンラインでの聴講になってしまいましたが。
しかし、オンライン配信、とてもありがたいシステムです、今回ばかりは本当にありがたいと思いました。対面で参加できない、この不出来な弟子をどうかお許しください。
学部生、大学院修士課程、大学院博士課程、私を導いてくださった指導教授になります。
かれこれ、25年間も先生にはお世話になっております。
25年です、4半世紀ですね。
学部3年になったとき、「都市やまちのバリアをなくしたい、不幸な人を少しでも減らしたい、そんな研究がやりたいと思っている」、そんな事を先生の研究室訪問時にお話しをしたら、先生は「僕と一緒にやらないか?」と言ってくださり、藤井研究室の門を叩きました。ここに飛び込んでみるしかない、そう思い、先生についていくことにしました。
とにかく、私には非常に厳しい先生です。私にだけ非常に厳しいように思えます。
なぜでしょうか。とにかく、褒められた記憶がありません。
私は、先生からすべてを学んだつもりでしたが、今思い返してみると、何も教えてもらっていないな(失礼にもほどがありますが)、という今の心境です。たぶん、勝手に育ちましたね、すみません。
研究指導、論文指導、たくさんご教授いただきました。とにかく、先生とのミーティングは戦いでした。1度始まれば、3時間ぶっ通しとか、いつもでした。朝9時に始まって、12時にひとまず終わって、お昼を学食でご一緒して、夕方また挑みにいったりと、とにかく先生に戦いを挑んだ、そんなクソ生意気な学生でした、わたし。
とにかく叱られまくった、という記憶しかなく、いつも先生に叱られて、長時間議論させていただいても納得がいかず、またヘコまされて、何度挑んでも敵わなくて、また議論をふっかけに行って、ボコボコにされて、ハナをへし折られて、この繰り返しだったような思い出が、昨日のように思い出されます。
私は、先生の引き出しを開けにいきました、何度も。先生もそれに応えてくださったと思います。おそらく、私とのミーティングは、先生を疲弊させたに違いありませんが、それ以上に、先生も楽しんでいたんじゃないかな??と推察します。
先生との対話・議論が、私をここまで成長させた大きな要因なのは間違いありません。なので、本当に感謝しかありません。
でも、叱られど叱られど、褒めてくださったことは、ありません。
私が何度も先生に戦いを挑んだのは、ただ先生に、褒められたかったからなのかもしれません。
なんとなくですが、今だからわかるんです。先生は私を弟子として扱うよりも、仲間としてみてくださっていたような、そんな気がしています。
研究も、先生に用意していただいたものではなく、自ら持ち込んで、コレをやりたい、コレでオレはやっていく、迷わず進む!などとぬかして、なんて生意気なヤツでしょうか。
先生が応えてくださったおかげで、学部、修士、博士でそれぞれ違う研究ができました。それにより、今の私の多様な分野構成が成立しました、マルチになんでもできる都市政策のプランナー、地域のデザイナーとして生きれるのは、先生が導いてくださったからです。
私が、いま先生と同じ大学教員になったのも、ただ先生に、褒められたかったからなのかもしれません。福島大、高崎経済大と、国公立大への奉職を、先生はとにかく喜んでくれました。実は、僕はたった1人で、結構頑張ったんですよ、先生はご存じないかもしれませんが。
最近は、もう叱られていないので、少し緊張がとけていますが。
いま、私も学生達と、オモシロイ世の中を生きるために、楽しく研究しています。
言いたいこと、また怒られそうで恐ろしいので、(とりあえず)面と向かって言えませんから、ここに綴っておきます。
いまの私なら、少しは認めてくれますか?
いまの私なら、少しは褒めてくれますか?
いまの私なら、少しは誰かに自慢してくれますか?
いまの私には、何が足りないですか?
いまの私では、まだまだ先生に追いつけませんか?
いまの私でも、まだまだ叱ってくれますか?
41年間の大学教授としてのお勤め、お疲れ様でした。
師と弟子、ただそれだけのこと、されどそれだけのこと
そして、
師へ
25年前、あの時、先生についていって、よかった
私のお気に入りのスポット、目黒川の桜が咲き始めました。
そして、銀座の歩行者天国は、今日も人々に寄り添う空間として存在しています。
今年の春は、今までの人生で最も優しさと切なさにあふれた感情が目の前に漂っています。




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